宗司に背中を押されて、俺は灯の手を取り歩き出した。


ここから雷門まではそんなに遠くはない。


キングである龍神像を破壊して、灯をこの街から出したら、俺は南軍に行ってキングを破壊すれば良いのか。


それで……灯は二度と化け物になることはないんだ。


そう考えながら雷門へと向かおうとした時だった。








「待て。俺はそんなことは聞いていないし容認することは出来ない。その娘にキングを破壊させるのは……断じて認めない」








俺達の前に、日本刀を抜いて刃をこちらに向けたのは……高山真治だった。


こいつは……灯を助けると言ったり、認めないと言ったり。


「お前は……一体どういうつもりなんだよ! 皆の思いをなんだと思ってるんだ! 一度も父親らしいことなんてしなかったくせに、邪魔をするつもりか!」


「葵……父親らしいことをしろと言うなら、一つだけしてやる。お前達を殺してでも、ここは通さん」


ピンと張り詰める空気。


少しでも動けば殺されてしまうような凄みを感じて、俺は武器を取り出すことすら出来なかった。


だがそんな中で……。


「いくら真治でも、こればっかりは譲れないね。悪いけど、お前を殺してでもそこは通してもらう」


父さんが、スーツを脱ぎ捨てて槍を取り出して、俺達の前に歩み出たのだ。