父さんの性格だから、自分が守れるものなら守りたい。


人には任せておけないという思いが強かっただろうに。


それなのに灯を俺に任せると言ったということは、俺を認めてくれたということなのか。


それとも……。


「だからお前らに、俺からプレゼントだ。雷門に行け。そこにある風神雷神像の裏に龍神像があるんだが……そのひとつが北軍のキングだ」


父さんが何を考えているかを読もうとしたら、それよりも先にキングの話をし出した。


瞬間、姉さんの顔が頭をよぎって、父さんの考えがわかったような気がする。


「まさか父さん……犠牲にするつもりか、北軍を」


「昴にも話は通してある。北軍と南軍のキング。二つを破壊すれば、灯と葵の二人はこの街から脱出出来る。なに、気にする必要はないさ。北軍も南軍も、俺達が守ってきたんだ。文句を言われる筋合いはねぇよ」


振り返って見てみると、皆微笑んでいて。


俺と灯にこの街から逃げて、幸せになれと言わんばかりの表情を俺達に向けていた。


「母さんに伝えてくれ。父さんは最後まで戦うってな。大丈夫だ。吹雪ちゃんに拓真、昴に篠田だっている。明ちゃんなら……わかってくれる」