俺と灯は同じ南軍で、結婚すると言った仲だから。


灯も、自身が化け物に変化するのは理解しているのだろう。


少し俯いて、申し訳なさそうな表情になる。


こんな時、俺はどんな言葉をかければ良いのか。


何を言っても灯の不安を取り除くことは出来そうにないと思って……俺はそっと灯を抱き締めた。


「大丈夫。俺は離れないから」


そう呟くと、小さく「うん」と灯が言って。


俺の背中に腕を回した。


「かーっ! 妬けるねぇ! 昴もこんな時があったって思い出してんだろ!」


「え? いや……俺は沙羅と仲が良いから。3ヶ月後に子供も生まれるし」


「……なんだよ、寂しいのは俺だけかよ」


二人の話を聞きながら灯の頭を撫でて。


「それで、これからどうすれば良いんですか? 外に出れば良いんですかね?」


結城さんに尋ねると、二人は立ち上がって、バージンロードを歩いてドアの前に。


「ああ、そうだ。皆に祝福をしてもらえ。名鳥さんから新郎新婦にプレゼントもあるみたいだしな。楽しみにしていろ」


そう言ってドアを開けてもらって、俺達は顔を見合わせて笑うと、バージンロードを歩き出した。