「ここに新たな夫婦が誕生した！ これで式は終わりだ！ 皆、外に出ろ！ ライスシャワーの準備をしろ！」


神谷が皆を急かすように吠えて、皆は笑いながら外に出て行った。


そんな中で、結城さんと拓真は長椅子に座りながら、俺と灯をジッと見ていて、何か言いたげな表情を浮かべていた。


「良い結婚式だったじゃねぇの。まあ、正式な結婚式とは言い難いけどよ、名鳥さんが必死になって計画していたんだ、大目に見てやれよ」


拓真が笑いながらそう言ったけど、大目に見るも何も、俺には寝耳に水というか。


こんなことを計画していたなんて全く知らなかったから、まだ実感が湧かない。


「葵、灯ちゃんだが、名鳥さんがずっと付きっきりで面倒を見ていて、状態は安定している。お前を前にした時も、元の姿に戻ったよな？ 詳しいことはわからないが、家族の絆が灯ちゃんを安定させていると俺は思ってる。だから、ずっと一緒にいればもしかしたら……」


もしかしたら灯は、このまま化け物になることなく、過ごせるかもしれないってことか。


なるほどな……いくら父さんとは言え、これから先ずっと付きっきりというのは難しい。


北軍のこともあるし、戦闘もしなければならない。


だから、俺に託したってわけか。