全く状況が飲み込めないけど、俺が今から何をさせられるかはこの雰囲気でわかる。


「えっと……あの……これってもしかして、もしかしなくても結婚式ですか?」


「え? 何? どういうことよ。葵は納得してそこに立ってるんじゃないの? ちょっと篠田! 俺が説得するから任せろって言ってたのにどういうことよ!」


俺が尋ねると、なぜか吹雪さんが後ろにいるタケさんに怒り始める。


「仕方ねぇだろ。想像以上にこいつが鈍くてよ。でも間違いなく今すぐにでも結婚するって言ったから大丈夫だ」


……あの蘭子との会話はそういうことだったのかよ。


話が強引すぎると思ってたし、まさかこんなことになるなんて思ってもみなかった。


「覚悟を決めろよ色男。こんなクソみたいな街で、幸せなことが起こるなんてラッキーじゃねぇかよ!」


「そうだぞ葵。蘭子と宗司もいつか結婚するから安心しろ」


宗司も蘭子も、最初から知ってたんだな。


俺が死んで、復活する間に計画して、そして今に至る……ってわけか。


「僭越ながら、牧師役は俺がやろう。何を言えば良いか全然知らんが、まあ、なんとかなるだろ」


カーテンに穴を空けてそれを被り、国語辞典を手に持って現れたのは……神谷だった、