「だが、俺が倒すべきじゃなかった。あいつは……次はより強大な憎悪を纏って復活するぞ。もはや人間に太刀打ち出来る相手ではなくなるかもしれないな」


あれよりも強くなるなんて、全く想像がつかない強さじゃないか。


いや、それよりも今は、灯が無事だったことを喜ぶべきかもしれない。


黒井が言っていた言葉……あと一回化け物になってしまったら、灯は元に戻らなくなってしまう。


それまでに津堂を見付けて元に戻すという目的が果たせなくなった今、解決する方法は一つしかない。


「黒井があれよりも強くなるなんて。高山さん。俺達と一緒に戦ってくれるってわけにはいきませんか?」


「俺は……この街の理から外れた人間だ。本来、俺が手を出すべきじゃない。わかるだろ? 結城昴」


「俺達だけでやれってことですか」


俺としては、こんなやつと一緒に戦うなんてごめんだから、断られて良かったけどね。


灯を助けてくれたのはありがたいけど、それで今までのことを帳消しにするには、あまりにも罪が重すぎる。


「じゃあ、どうしてここにいる? 邪魔をするわけでも、一緒に戦うわけでもないのに、蘭子達を待っていたのか?」