「ごちゃごちゃうるせぇ。ルークをあの場所に召喚したのはテメェか。人の思い出の場所を破壊しやがってよ」


まずい。


ルークが壊したあの場所は、タケさんの元奥さん……夕蘭のお母さんがずっといたって場所だ。


「それで……俺を許せないとでも言うか? 気に食わないから、そのメリケンサックで殴ろうと」


ほんの数秒、睨み合いが続いた。


俺達にはわからない、二人だけのとてつもなく純度の高い殺意の飛ばし合い。


「……いや、今は勘弁してやる。そんなことをしてる暇はねぇからな」


「思ったより話がわかる人で助かったよ、篠田武久」


何を二人で納得しているのかわからないけど、こっちは全然わからないぞ。


いや、それよりもこいつがここにいるということは……。


「灯は……灯は送り届けてくれたのか?」


「ああ、約束は守る。名鳥さんに送り届けて、もう一人の子も南軍に送った」


その言葉を聞いて安心したと同時に、もう一つ疑問が浮かんできた。


「……だとすると、もしかして黒井を倒したのか? あの状況で逃げられるとはとても思えなかったけど」


俺が尋ねると高山真治は頷いたが、目を細めて口を開いた。