「いやあ、まさかルークでも足止めにしかならないとは。俺の思惑通り、皆強くなってくれたってことかな」


髪も髭も伸びっぱなしのみすぼらしい格好。


まるでホームレスのようなその容姿の男にいち早く反応したのは結城さんだった。


「お前は……その顔、見間違えるはずはない。高山真治……俺達の邪魔をするのか?」


タケさんと夕蘭も、一度会ったことがあるせいか、一気に緊張感が増して。


無意識に武器を取り出して、攻撃に備えていた。


「邪魔はしないさ。ルークを召喚して足止めしたのも、名鳥さんに頼まれたからだ。でもそのおかけで準備が整ったんだよ。結城昴」


「……名鳥さんに? 相変わらず俺達は、あなたの手の上で踊らされてるってことですか?」


「いやいや、そうじゃない。言っただろ? 準備が整った……」


と、高山真治がそこまで言った時だった。


何か思うところがあったのだろうか。


タケさんが道に停まっている車を殴り付けて、高山真治へと吹っ飛ばしたのだ。


だが、その場から一歩も動かず、焦りの色一つ見せずに、高山真治は日本刀を抜いて車を真っ二つにしたのだ。


高山真治を避けるように、二つに分かれた車は、地面を転がって動きを止めた。