月影と千桜さん、王我と希澄は南軍に戻り、結城さんは俺と一緒に北軍に向かうことになった。


西軍からは夕蘭とタケさん、そして杉村が。


蘭子は東軍に帰るわけにもいかず、俺に付いてくることに。


拓真と舞桜は一足先に北軍に戻った。


「宗司にも北軍に向かうように伝えてくれるらしい。それにしても……もうルークが出たか。早すぎるな」


北軍に向かって歩きながら、バベルの塔を見上げてそう呟いた結城さん。


俺もバベルの塔を見ると、太陽の光のせいか、その頂上付近は光り輝いているように見える。


「散った命が……願いの力が集まって、願いを叶える力になるか。『バベル』も『ヴァルハラ』も、同じだったのかもしれねぇな」


「俺はそうだと思いますよ。散って行った命と願いの力が、『ヴァルハラ』を終わらせる力になったんです」


あれが……あの光が、人が死んだ時に飛び散る光の粒なのかな。


でも、あの中に姉さんはいない。


鬼でも人間でもなくなった姉さんは、ただ命を落としただけなんだ。


「そう言えば杉村さん。夢子ちゃんとは最近どうなのよ? 上手くいってるわけ?」


しんみりした空気を破ろうとしたのか、思い出したかのように夕蘭が杉村に尋ねた。