俺がそう尋ねると、大和さんは「しまった」というような表情に変わって。


一転、しどろもどろな言い方になってしまったのだ。


「え? いや……それはやな。なんと言うか……そんな気がしただけで……多分そうやないかと思ってやな」


非常に怪しいけど、実際に北軍に行こうとしていたのは事実。


だけどその前に……。


そう思ってチラリとタケさんの方を見てみると。


「あ? なんだよ。まさかまだ戦いてぇとか言うつもりじゃねぇだろうな?」


「あ、いえ。まだ完全に決着がついていなかったからどうなのかと思って」


「はっ! ドMかテメェは。最初にやり合った時はデコピン一発で伸びてたお前が、俺と戦えるようになっただけでも充分な成長だろうが」


そう言って、俺に歩み寄ったかと思ったら、自分が被っていたキャップを脱いで俺に被せた。


それを見て、結城さんは微笑んだけど、その笑顔の意味は俺にはよくわからない。


「えっと……このキャップは」


「お前にくれてやるよ。気にすんな、ただの気まぐれだからよ」


よくわからないけど、くれると言うならありがたく使わせてもらおう。


とりあえず、北軍に行ってみないと、灯が送り届けられているかがわからないから、北軍に向かおう。