日本刀を振り、顔の前でゆっくりと鞘に納める結城さん。


キンッと音が聞こえた瞬間、ルークの首が切断されて、その巨体は動きを止めたのだ。


「鳥肌もんや……ワシは今、とてつもなく感動しとるで! 一瞬の攻撃を成功させた二人も凄いけど、それをサポートした皆も凄い! なんやもう……凄すぎて言葉が出てこんわ!」


「い、いやいや大和さん。あなたが立てた作戦じゃないですか。もしかして、成功すると思ってなかったんじゃ……」


「いや、これが一番成功率が高いのはわかっとった。成功する確率は高くないと思ったから感動しとるんや!」


一か八かの大博打だったわけか。


俺達の背後で、ルークが光の粒へと変わる。


その巨体に見合った、とてつもない量の光の粒だ。


それが天高く昇って行って……。


「葵、覚えているか? 俺達が初めて会った日に出会ったポーンを」


突然そんなことを話し始めた結城さんを不思議に思いながら、俺は小さく頷いた。


「結城さんが角を折ったポーンですよね? あの後一度遭遇して、その時にタケさんが……」


と、そこまで言って俺は空を見上げた。


今のルーク……角が折れていた。


落下の衝撃で折れたかと思っていたけど、もしかしてそういうことだったのか?


「俺を許さないと言っていたから、恐らくあの時のポーンだろう。人間だけじゃない。鬼もこれほど強くなるってことだな」