この向きはまずい!


エアライドを使ったとしても、迫る左手に向かっていく方向にしかまともに飛べない!


ガードしたところで、無事で済むとは思えない!


このまま俺はここで死んでしまうのかと、迫るルークの左手を見ることしか出来なかった。


だが、次の瞬間、俺の身体がグイッと上に引き上げられて、ふわりと宙に舞う感覚に包まれたのだ。


「葵……良かった」


そんな状況に、飛び込んで俺を助けてくれたのは……友里だった。


七階から飛んで、俺を放り投げてくれたんだ。


そしてルークの左手が友里を掴んだ。


俺を掴んだとでも思ったのか、その左手を上げて顔に持って行くと、口が大きく開いて……友里を噛み砕いたのだ。


バキバキッという音が聞こえて、光の粒へと変わった友里。


友里は鬼だ。


魔刻に死んでも、いずれどこかで復活する。


とはいえ、俺の油断というか、ミスで殺したようなものだ。


「友里! くっ! 俺のせいで!」


「葵! 集中しろ! 余計なことは考えるなっ!」


何とか体勢を立て直して、再び肩に戻った俺に、結城さんが檄を飛ばす。


言われなくたってわかってる。


これ以上、俺のせいで誰かを殺すなんて嫌だからな。