「岩の部分に攻撃しても殆どダメージはありません。あの岩の下にある本体に攻撃をしなければ」


「全く……南軍に休眠中のルークがいるというだけでも気が気じゃないというのに、こんなところでも戦うことになるなんて。誰か、この岩を剥がせる方はいないのですか?」


千桜さんと月影も慌てているみたいで、皆に言っているというよりは独り言に近い。


ここにいる人達の武器を見ると、刀や細剣、メリケンサック等……。


宗司がいれば、どうにかなりそうな武器がありそうだけど、いないやつのことを言っていても仕方がない。


「ふふふ。ようやく俺達の出番ってわけだな。目ん玉かっぽじってよく見てやがれ! 希澄のサイキックパワーをよ!」


王我が自慢げに希澄を指差して見せるけど……目ん玉かっぽじったら見えなくなるだろ。


というツッコミは誰も入れなかった。


「無理ですよ王我。こんな質量の相手をどうしろって言うんですか。私の力じゃ、岩一枚だって剥がせません。試したから間違いないですよ!」


「よしわかった! お前ら邪魔だからどこかに隠れてろ! いいか、俺達の邪魔だけはするんじゃねぇぞ!」


王我と希澄のやり取りに、呆れたように拓真がそう言い放ったけれど、大和さんは何かを考えているように、眉間に皺を寄せて辺りを見回していた。