だが、ルークは結城さんを見た瞬間、怒り狂ったように暴れ始め、鼓膜が破れるかと思うほどの咆哮を放ったのだ。


「ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン! キサマ……キサマハユルサンゾ!」


起きる前に仕留めるとか言う話じゃない!


身体を揺すり、取り付いた人間を振り払うように動き出して、俺もタケさんもカラオケ店の方に吹っ飛ばされたのだ。


「オーライオーライ。葵は蘭子が受け止める! 友達だから!」


手をかざして、俺を受け止めようとしていた蘭子だけど……もう1m右っ!


俺は蘭子の横を通り過ぎるように、顔面から地面に着地して動きを止めた。


「お、おお……失敗失敗」


「いや、受け止めなくてもダメージはないから良いんだけどね! 受け止めようとしてくれてありがとう!」


すぐに起き上がり、文句ともお礼とも取れる言葉を発して蘭子の頭を撫でた。


「俺があれだけぶん殴ってやったのに、全然効いてねぇのかよ。どうなってやがる」


タケさんの攻撃でさえ通らない、驚異の装甲を持つルーク。


結城さんは岩と岩の隙間を狙えって言ってたけど……このルーク、その結城さんになぜかブチ切れてるんだよな。