起き上がって、身体に付いた埃を払いながら、不機嫌そうな顔でルークを睨み付けたタケさん。


丁度、七階のこの場所と同じ高さに顔があって、どれだけルークが巨大なのかというのがわかる。


「野郎……せっかくの勝負を邪魔しやがって。ぶち殺してやんぜ!」


怒りに満ちた目をルークに向けているけれど、俺との勝負を邪魔されたというだけではなさそうな怒り方だ。


そこまで考えて、俺は思い出した。


昔、「ヴァルハラ」で、夕蘭の母親がここにいたという話を。


その場所を破壊されて、タケさんは怒ったのだろうか。


「葵、まず先にこいつをぶち殺すぞ。西軍に現れたのを後悔させてやるぜ」


そう言うが早いか、駆け出してルークに向かって飛び掛かると、その顔面に強烈なパンチを放った。


ゴツッという音が聞こえ、まるでハンマーででも殴られたかのように顔が逆方向を向いて、ルークは向かいのビルに倒れ込んだのだ。


「と、とんでもないな。あのルークを……い、いや、感心してる場合じゃないぞ。皆、安全な場所に逃げろ! こいつは今までの相手とはレベルが違う!」


夕蘭達にそう言って、俺は崩れた場所からルークに向かって飛び下りた。