「北条葵! テメェの想いはどこを向いている! 俺に示してみせろ!」


「俺は……ここで死ぬわけにはいかない! 篠田武久! あんたを乗り越える!」


日本刀を頭上に構え、一瞬の溜めの後、タケさんに目掛けて振り下ろした。


どんな物でも一撃で切断する「一撃必殺」。


だが、それより速く、タケさんの拳が俺に向かって放たれた。


どちらが速いかの勝負!









そう……思った次の瞬間。







「来る! 来る!」







友里の声と共に、俺とタケさんがいる場所の横。


ステージ側が一瞬で崩れ去り、その衝撃で俺もタケさんも入り口の方へと吹っ飛ばされてしまったのだ。


埃と瓦礫にまみれて、一体何が起こったのかを確認する為に身体を起こすと……そこには、白い岩のような身体の巨大な一つ目の鬼、ルークがいたのだ。


角が一本、落下の衝撃で折れてしまったのか、このルークにはなかった。


「ヘ、ヘイヘイ! 一体なんだってんだよ! ルークは南軍で休眠中じゃなかったのかよ!」


「いつつ……み、皆大丈夫!? 下にいた他の人達は……」


杉村も夕蘭も混乱しているようだけど、俺もまだ状況が把握出来ていない。


いきなりどうしてルークが。


友里の言い方だと、空から降って来たのか?


だとすると……こいつを召喚したのは高山真治なのか!?