「や、やべえ……なんだよこのハイレベルな攻防は。タケさんが強いのはわかるけどよ、あのピヨピヨ鳴いてたピヨが……とんでもなく強くなったってことかよ」


「当たり前だよ。葵はどれだけの人達と戦って来たか。勝てない戦いばかりでも、それは全部、葵の力になってるんだ」


タケさんの攻撃を回避しながら聞こえた杉村と夕蘭の声。


そんな中で、友里が怯えたような声を上げたのを、俺は聞き逃さなかった。


「あ、ああ……何か来る……大きな……死の塊が降ってくる!」


そう言っていたけど、今の俺は話を聞いてやれるほど余裕はない!


目の前のタケさんを殺す気で行かないと、俺が殺される!


「どうした! 逃げてるだけじゃ勝てねぇんだぜ! もう一発食らうか!? 必殺! 白虎咬牙撃!」


素早く右の拳を引き、僅かな溜めを終わらせたタケさんが、ニヤリと笑って拳を放った。


「ここしかないっ!」


虎が猛るような、荒々しいオーラを纏うタケさんの拳。


俺は身体を横に回転させながら飛び上がり、その拳をトンファーで弾いて、タケさんの腕を蹴った。


「もらった! 紅散花閃!」


空中を蹴り、タケさんを蹴り、そしてまた空中を蹴る。


蹴れば蹴るほどスピードは増す。