「あれは……黒井と戦っていた男が召喚したんだと思います。タケさんも見たでしょ？ あのホームレスみたいな男です」


俺の言葉でさらに険しい顔になり、目を瞑った。


「その男はナイトを召喚した男じゃないのか？ ポーン、ナイト、ルークと召喚して、何を企んでいるんだ」


舞桜は北軍でナイトと戦ったことがある。


恐らく、チラリとでもその男の姿を見たかもしれないな。


「……で、その男の正体は？ そこまで知ってんだ。少しくらい情報を持ってんだろ？」


タケさんの言葉で、また皆が一斉に俺に視線を向ける。


「あ、あの男は……高山真治。俺の……父親らしいです」


一体どれだけの人がその名前を知っているのか。


目だけ動かして確認してみても、殆どの人が知らない様子だ。


驚いているのは結城さんと拓真、そして……なぜか王我の三人だけ。


「マジか……あの高山真治がなんだってナイトとかルークを召喚してんだよ。またあいつと戦うのか……」


「拓真、まだ結論を出すには早い。葵、何か聞いたことはないか？ 見聞きしたこと何でもいい。思い出せるだけ思い出してくれ」


絶望する拓真を宥める結城さんに言われ、俺は東軍で高山真治と黒井が話していたことを、思い出せるだけ話した。