俺を睨み付け、凄まじい圧を放つタケさんに怯みそうになる。


まるで敵でも見るかのような鋭い視線。


「え、えっと……津堂燕飛と池田煌我は、東軍の黒井に協力して何かをやっているみたいです。東軍には人間がほとんどいない印象でした。あ、でも鬼は多くて……黒井も悪魔みたいな姿で……それで……」


話せば話すほど、俺が言っていることが現実離れしていて、妄想癖があるんじゃないかと思われかねない。


話をしながらチラリと見たのは蘭子。


黒井という名前を出した瞬間、眉毛がピクリと動いたのがわかった。


「それで、もしかすると津堂達だけじゃないかもしれません。西軍や北軍にも、黒井に協力してる人がいるかもしれないんです」


「……なるほどな。津堂達が黒井に協力していると言うなら、なぜ月影を人質にしていたかも理解できる。やつは南軍の支配が目的ではなく、南軍を使って他軍を壊滅させようとしていたのか」


結城さんがブツブツと呟いているけど、そこまでは俺にはわからない。


考えるのは結城さん達に任せるよ。


「あのでっけえ化け物……ルークについて知ってることは? 東軍に落ちたあの化け物が、今では我が物顔でこの街を闊歩してやがる」