例のカラオケ店に到着し、タケさんがいそうな三階の飲み屋に行ってみると……カウンターにはタケさんの姿はなく、奥の部屋からなにやら声が聞こえていた。


「あのカーテンの奥だな。誰と話してんのか知らねぇけど、こっちも一応緊急なんでな。入らせてもらおうぜ」


そう言って杉村が奥の部屋へと歩いて行き、小さく「失礼します」と呟いてカーテンを開けると……その光景に俺は驚いた。


そこにいたのは……タケさんを筆頭に、結城さん、千桜さん、月影に蘭子に大和さん、夕蘭、友里、拓真、舞桜、おまけで王我と希澄。


その人達が一斉に俺達の方を見て……。


「タケさん、北条葵が戻って来ました……って、なんか重要な話っぽいっすね」


「構いやしねぇよ。重要な報告なら、推測で話すより何倍も情報が得られるからな。入れよ」


テーブルを囲ってソファに座る人達の前に歩み出て、その異様な雰囲気に俺は息を飲んだ。


ここにいる半分以上は「ヴァルハラ」で、タケさんとは面識がある人ばかりなのだろう。


だからこそ軍の垣根を越えて、こうして集まることが出来る。


それは理解しているつもりでも……少し警戒してしまう。


「で? 単刀直入に聞くぞ? 東軍で何があった。見たことを全部話せ」