アジトを出て、タケさんがいるであろうカラオケ店に向かおうとした俺を追い掛けて、杉村とひなたがやって来た。


「お前がどれだけ前に死んだか知らねぇけどよ、見ろよこの街を。空から巨大な白い隕石が……ルークが落ちて来てボロボロだぜ」


「そうそう、いくら一日の終わりに街が元の姿に修復されると言っても、こうも簡単に破壊されるとね……」


ルーク……あの日、黒井と戦っていた時、高山真治が呼び出した巨大な鬼。


杏子と灯を助けることが出来なくて、結局あいつが助けてくれていることを祈るしかないんだけど、こんなに街を破壊する鬼を出したやつだ。


だけど、アジトに灯がいなかったことを考えたら、約束通り助けてくれたのか?


あいつが何を考えてあんなことをしているのかが、全くわからない。


あれじゃあ、この街の人間を死滅させようとしてるようにしか見えない。


まあ、東軍の黒井も似たようなことをしているかもしれないけどさ。


この先、この街で一体何が起こるのか……全く予想がつかないな。


「んで? お前はてっきり灯ちゃんを追って出て行ったと思ったけどよ、何がどうなってんだ? あんなに強くなったお前が死ぬなんて、わけがわかんねえんだけどよ」


俺に負けたのがよほど悔しかったのか、まだ納得がいかないという様子で首を傾げる杉村。


「タケさんのところで話すよ。どうせ全部話さなきゃならないだろうし」