「招待……状? なんだこれ。URLも何も書かれてないけど……」


おかしなことに、メールのタイトルに「招待状」と書かれているだけで、本文は空白。


差出人の名前が書かれているだけのよくわからない物だった。


「なんだ? 招待状って。学校の女の子にパーティにでも誘われたかな? 義理とは言え、俺はお前の父さんなんだからな。彼女ができたら紹介くらいしろよ。で、なんて子から届いたんだ? その招待状は」


「ん……そんなんじゃないよ。高山……真治って書いてある」


と、俺が答えた瞬間、父さんは驚いたのか急ブレーキを踏んで、俺の身体がシートベルトに食いこんだ。


調子よく街を走っていた車は急停車し、父さんが目を見開いて俺を見る。


「誰……だって? 高山真治だと?」


いつものほほんとしている父さんのこんな顔は初めて見た。


怒っているようにも、驚いているようにも見えるその顔は、俺を不安にさせる。


「と、父さん、道の真ん中だよ……」


「あ、ああ……すまないな」


そこで我に返ったようで、再び車を走らせる。


でも、父さんのこの動揺は一体なんだ?


ただ事じゃないぞ。


それから父さんは、どこか落ち着かない様子で。


一言も話すことなく、俺を学校の前まで送って、仕事に向かった。