「友里! 夕蘭を連れて逃げろ! 夕蘭を守れ!」


日本刀を抜きながら反転し、ポーンに刃を向けて構える。


「わかった。逃げる。そして守る」


「え!? ちょ、ちょっと……」


抱きかかえてくれても、引きずってくれても、ここから離れてくれるなら何だっていい。


タケさんでこれなら、俺に何が出来るとも思えないけど、せめて夕蘭を逃がす時間は稼がないと!


「なんだこいつはよ! こんな白い鬼、見たことねぇぞ!」


「ポーンって変異種ですよ。タケさん、何とか回復を! それくらいの時間は稼いでみせます!」


「ポーンだと!? はっ! 冗談じゃねぇや。これで兵士なのかよ」


タケさんがもう片方の腕でPBSを開こうとすると、ピクリとポーンが反応した。


来るっ!


一体どんな速さで攻撃を仕掛けるつもりかわからないけど、それよりも速く行動に移すしかない!


ポーンが動くよりも速く、タケさんの前に移動した俺は、その強さの一端を目の当たりにした。


ガクンと膝が折れて、倒れ込むようにポーンの身体が沈んだかと思うと、その低い体勢のまま俺に急速接近。


膝を伸ばすと同時に人差し指を俺に向けて……それが、右腕を斬り飛ばしたのだ。