そんなに強調しなくてもいいじゃないか。


でも確かに、俺の味気ない日本刀と比べたら豪華だったけどさ。


あんなホームレスみたいな人が、あんな豪華な日本刀を持ってる……か。


いや、そうじゃない。


どうして軍に所属してないのにソウルウェポンを出せるんだよ。


全然理解出来ないんだけど。


そう考えながらも、夕蘭の背中を撫でて落ち着かせる。


「不思議なもんだよな。西軍の自分のアジトに引きこもってりゃ、西軍最強だとかこの街で最強クラスだとか好き勝手言われるのによ。こうして外を歩いてみれば、とんでもなくヤバいやつらに出会えるんだぜ? お前らも早く強くならねぇと、巨大な波に飲み込まれちまうぞ」


既に俺の近くには巨大な波がいくつもあるんだけどね。


タケさんに父さん、結城さんだってそうだ。


とてつもなく強い人達が周りにいて、容赦なく「お前は弱い」と言われているような気がしてならない。


「落ち着いたら行くぞ。もうこれ以上おかしなのには遭遇したくねぇな」


街の中心部に近付けば近付くほど、とんでもなくヤバくなるというのを身をもって知ることが出来た。


眼前にそびえるバベルの塔。


ここに何があろうと、今の俺では辿り着くことすら困難なのだと思い知らされる。