「……テメェとやるつもりはねぇ。さっさと行け」


「そりゃあ……どうも」


いつもの余裕があるタケさんじゃない。


無理矢理に声を絞り出したという感じで、俺達がいるからこの場を早く切り上げたいという意図がわかる声だった。


男性は日本刀を離し、またヨロヨロと線路を歩いて行く。


その姿を見て、慌ててスキャンしたけれど……結果はエラー。


何者かどころか、名前もわからないままだった。


「おい、夕蘭。お前大丈夫かよ」


「な、なんなのあれなんなのあれ。ありえないんだけど……あんなヤバいの初めてなんだけど……」


タケさんが尋ねても、ガタガタと震えて同じようなことを繰り返すだけ。


「夕蘭の世話係、どうにかして夕蘭を落ち着かせろ。まあ、あんなやつが現れたんだ。こうなるのもわかるけどよ」


「い、今の人……一体何だったんですかね。スキャンしてもエラーが出るし、どこの軍にも所属してないのに、俺と同じ日本刀を持ってた……」


「同じって……あっちの方が豪華絢爛な装飾だったろうが。俺のメリケンだって、人それぞれ形が違う。同じだとか思うな。全く別モンだろうが。お前の日本刀の方がみすぼらしい!」