スキルのおかげもあるのか、それとも母さんのおかげなのか。


どう動かせば、淀みなく攻撃を繰り出せるかがわかる。


だけど……どうやらこのトンファー、多人数向きの武器ではないようで、次々と迫る鬼に押し切られてしまいそうだ。


「葵! 避けてっ!」


そんな中で、夕蘭の声が聞こえた。


多人数を相手にするなら、俺よりも夕蘭の方が向いているようだ!


「じゃあ遠慮なく! よっと!」


戦斧が飛んで来るのが見えて、俺はその場でジャンプした。


「跳舞」スキルに、「ジャンプ力+」スキルの効果で、5mは飛んだだろうか。


「マ、マジかよ!」


それに一番驚いたのは俺自身だった。


滞空時間も長く、その気になればくるっと一回転することだって出来そうだ。


そんな俺の下で、鬼達が戦斧の攻撃によってなぎ倒されて行く。


多人数に強いなら、レベルを上げるのには苦労しなさそうだな。


やっぱり、俺が一番問題か。


「い、いきなりどうしたの、そのジャンプ力……ありえないでしょ」


ふわりと線路に舞い降りた俺に、夕蘭も驚きを隠せないようだ。


「お、俺もそう思う」


だけどわかったことが何個かある。


日本刀を持っていなくても、武器さえ持っていれば発動するスキルと、しないスキルがあるということだ。