沿線のビルから、次々と線路に飛び込んでくる鬼達。


それを迎え撃つように夕蘭が戦斧を振り、回転を始めた。


そして戦斧を離すと、まるでブーメランのように夕蘭の周りを回転しながら弧を描き、線路の中に入った鬼達を分断して行ったのだ。


南軍で見せた、武器を投げる攻撃の発展形とも言うべきか。


なんて感心してる場合じゃない!


「あぶなっ!」


見ていた俺にも容赦なく迫り、俺は慌てて屈んでそれを回避した。


こりゃあ……夕蘭の心配なんてしてる場合じゃないな。


俺が心配される立場だよ。


日本刀とトンファーを構え、夕蘭の攻撃の範囲外にいる鬼達が鬼を迫って来た。


「足場は悪いけど!」


素早く駆け出し、鬼の隙間を縫うようにして、日本刀を滑らせる。


日本刀は良いとしても、イマイチまだトンファーの方に慣れていない。


本来はこんな状況でやるべきではないんだろうけど。


鬼の群れが途切れるまで走り、線路の上を滑って方向を変える。


右手の日本刀を離し、PBSを開いてトンファーのスキルを開いた。


「ブロッキング」しか解放していないスキルツリーに、新たなスキルがある。


日本刀とは違って、三つに枝分かれしていた。