「わかりました。ちょっと俺、タケさんのとこに行ってきます。少しでも知っておきたいから」


そう言って立ち上がると、慌てて夕蘭も立ち上がって。


「クソ親父のとこに行くなら、私も行くよ。どこにいるかわからないでしょ?」


「うん。助かる」


俺は夕蘭と二人、ホテルから出て、タケさんがいるであろう場所に向かって移動を始めた。


「そう言えば舞美さん達の姿が見えなかったけど」


「哨戒任務だよ。前の聖戦で西軍に残った、敵軍の人達がいるかもしれないでしょ? それに、鬼の動きも最近活発化してるからね。寝てた葵にはわかんないと思うけど」


物凄い勢いで世界は変わっているんだな。


少しでも気を抜くと、一気にその流れに足をすくわれて流されてしまいそうだ。


いや、穴蔵で現実から逃げていた俺は、まだその流れに足を踏み入れてさえいないんだ。


「万世橋の近くに、カラオケがあるのわかる? この時間だと、そこの三階で飲んだくれてると思うんだけどね」


「カラオケ……か」


夕蘭と二人、そこに向かって歩いて5分。


タケさんがアジトにするには小さい気もするその建物に入って、エレベーターで三階に向かった。