「あの……大和さんは白い柱……バベルの塔について何か知りませんか?」


椅子に腰掛けて、物知りな大和さんに尋ねてみるけど……大和さんは首を傾げて。


「バベルの塔? なんや、あの白い柱はバベルの塔言うんか? そんなん初耳やけど……妙にしっくりくるな。天に届きしバビロンの塔。神は怒り、人々の言葉をめちゃくちゃにして互いに通じんようにした……か」


「言葉が通じないわけじゃないけど、東西南北の軍に分かれて殺し合ってるね。言葉が通じないと異民族……異民族は殺し合うって、単純な考えなのかな」


夕蘭は思い付いたことを言ったのだろうけど、その言葉の意味は何となくわかる。


「争いなんて始まりはそんなもんやろ。なるほどな、バベルの塔か。塔のことは知らんが、気付いたか少年。人をスキャンした時に、時々『バベル』と『ヴァルハラ』っちゅう、ようわからん文字が書いてあるやつがおるのを」


「見たかもしれないですけど、その時は特に気にしてなかったからわからないです。でも、津堂と拓真が戦ってる時に、その言葉を聞きました」


「もしもあの塔がバベルの塔なら、『バベル』のやつに聞けば何かわかるんやないか? どうやらその中にはおらんみたいやけど」