大和さん。


そして、その隣には夕蘭の姿も見える。


「あの後から、このグループに世話になっとるんやが。まだ完治したってわけやなさそうやな。特にあのお嬢ちゃんの方は」


チラリと天井に目をやった大和さん。


灯のことを言っているのだろう。


「もう少し……自分の力で起き上がるまで、待っていてあげてください。灯にはまだ時間が必要だと思います」


「ちゅうことは、お前は自分の力で起き上がれたわけやな? 北条葵」


「……わかりません。でも、それを確かめる為にここにいるのは確かです」


俺がそう言うと、杉村は空気を読んでくれたのか、宗司を連れてホテルの外に出て行った。


「そうか。でも、こうやって話してくれてワシは嬉しいで。このお嬢ちゃんもずっと心配しとったんや」


夕蘭の頭をワシャワシャと撫でて、豪快な笑い声を上げた大和さん。


迷惑そうにその手を払い除けて、夕蘭が腕組みをして顔を背けた。


「べ、別に……だってクソ親父は、私をあんたに預けたわけでしょ。預かってる人がそんなでどうすんだっての」


そうだったな。


タケさんは、夕蘭を俺に預けたんだった。


これじゃあ文句を言われても仕方ない。