俺と灯の為に、誰かが部屋の前に置いてくれていた服に着替えて、エレベーターで一階に下りると、見たことのない人が何人かと、見知った顔が何人か。


その中で、杉村が俺を見付けると、驚いたような顔で立ち上がって。


物凄い勢いで俺に駆け寄って、強烈なハグをしたのだ。


「うおおおおおおい! ピヨ! まさか、まさかあの後にあんな事があったなんて思いもしなかったぜ! お前ら、良く頑張ったな! うおおおおおおおおん!」


「す、杉村さん……ちょっと、離してください」


杉村のこの熱い抱擁は……正直きつい。


「光ちゃんのことは聞いたぜ。なんつーかよ。俺もまだ信じらんねぇよ。悔しいよな」


宗司も悲しんでくれたのだろう。


いつもの元気がなくて、俺達に気を遣っているみたいだ。


「あ、あの……それよりこの人達は」


俺が尋ねると、缶ビール片手に浜瀬さんがやって来た。


「うちのグループも少しは大きくなったってことだ。篠田さんのところと比べたらまだまだだが、西軍の中でもギリギリ上位くらいの規模なんだぞ。まあ、それもあの人のおかげかな?」


そう言ってソファの方に目を向けた浜瀬さん。


するとそこには、ボサボサの髪でロングコートのみすぼらしい男性、大和さんが座って俺に手を振っていた。