強引に身体を時計回りに捻り、日本刀で野太刀の背を右側に払う。


少しでも被害を少なくしようと、頭を左に傾けて。


シュンッという、風を切る音が耳元で聞こえたと同時に、鋭い痛みが耳に走った。


「ぐうううううっ!! 避け切れなかった!」


舞桜の野太刀が、頬と右耳を切り裂いて顔の横にピタリと密着している。


「! 避けた!?」


「避けなきゃ死ぬだろうが!」


日本刀を右に押しながら左に飛び退いて、すぐに構え直すと舞桜に飛び掛かった。


舞桜のような鋭い攻撃は俺には出来ない。


どう扱っていいかもまだわかっていない日本刀を振り下ろすけど、舞桜は軽く後方に飛び退いて俺の攻撃を回避したのだ。


何度、着地するたび距離を詰めて日本刀を振り回しても、その都度舞桜は後方に飛び退き、まるで遊んでいるかのように容易に俺の攻撃を回避する。


ダメだ、この人強すぎる!


どれだけ俺が攻撃しても、ひらりひらりと身を翻して。


父さんやタケさんのような力強い動きではない。


もっと軽やかで速い……そう、あの人に似ている。


「そうだ……結城昴みたいな動きだ」


そう、俺が呟いた時だった。


舞桜は驚いたように足を止めて……俺の日本刀は舞桜の額に微かに触れた。