コツン。





そんな音が頭上から聞こえた。


上野駅から続く歩道橋。


そこを見上げると……短いスカートを穿いた女性が、歩道橋の縁に立って、俺達を見下ろしていたのだ。


長い髪が、風で横に流れて。


スカートが捲れ上がり、パンツが丸見えになっていても顔色一つ変える様子がない。


黒い服、太ももまであるブーツ。


妙にその姿が似合っていて、俺は武器を構えるのも忘れて見惚れてしまった。


そんな中で、女性がふわりと歩道橋から飛び降りた。


「あ……」


小さく、声が漏れた僅かな時間。


女性は流れるような動きで巨大な刀を取り出して、落下しながら先頭を歩く杉村の頭部目掛けてそれを振り下ろしたのだ。


まるで……スローモーションの世界にいるようだった。


その中で、女性だけが素早く動く。


恐らく、杉村は自身に何が起こったのかさえ気付いていないだろう。


真っ二つに切り裂かれ、血と光の粒が飛び散ったのだ。


杉村の後ろにいるひなたさんも、突然の出来事で反応が出来ていない様子。


着地と同時に巨大な刀を肩に担ぎ、自分の首を支点にして刀を回転させて、ひなたさんの首を刎ね飛ばす。


その洗練された動きに、俺は身動きひとつ取れずに。


刃が後方から宗司の首をも切断して、文字通りあっという間に三人は光の粒へと変化してしまったのだ。