「ヘイヘイ。あんたもこいつらの気まぐれで助かったな。俺達が西軍だからって、背後から命を狙うような事はするんじゃねぇぞ。わかったな?」


地面に座り込んで泣きじゃくっている女性を指さして、面倒はごめんだとばかりに杉村が声を掛けると、女性は顔を上げて杉村の方を向いた。


「み、美奈ちゃんが死んじゃった……私、これからどうすれば良いか……こんなところで一人でなんて生きていけないよ! どうしよう!」


「ファッ! か、可愛い……マジかよシット! ドストライクの極みってやつだぜ……」


女性と杉村の会話が全く噛み合ってないけど大丈夫か。


そう思っていると、今までに見た事のない、イケメン風の顔で杉村が女性の前に屈み、手を差し出した。


「大丈夫。僕に任せて。キミは一人じゃない。知り合いが北軍にいるから、そこに身を寄せるといいよ。幸いここから近いから、すぐに向かおう。わかったね?」


……誰だよお前は。


いつもと全然態度が違うじゃねぇかよ。


「いつつ……なんだありゃあ。惚れたな」


「そ、そうだな」


頬を押さえて俺の方にやって来た宗司も同じ意見だった。


敵を助けるなと言ってた本人が、その敵に惚れるとかどういうことだよ。