どうしたいって、そんなの私が一番わからないよ。

どうしたらいいの。
私は何を選べばいいんだろう。


本当は誰を選びたいんだろう。



「俺のとこに…戻って来てくれないかな」



母を前にして、彼はまっすぐ私を見つめて来た。

ずっと見つめてくれていたのに同じように返せなかったのは私だ。


だから思わず視線を移せば、バチッと重なり合う。



「柚が居ないとさ、父さんも母さんも寂しそうなんだ。夕飯だって全然静かで」


「…お父さんと、お母さんだけ…?」


「もちろん俺も。…いつも隣の部屋にお前が居る気がして声かけちゃうんだよ」



そんなの私も同じだ。

面白そうなテレビがやってたら「お兄ちゃん一緒に見よ!」って言っちゃったことがある。


そのとしはたまたまお母さんはお風呂に入ってたから見破られなかった。



「柚、お父さんの方に戻ってもお母さんはここに居るから。会えないことはないわ」


「…でも、」


「それにお母さんもたまには愛娘に会いたいもの」