私、怯えてる…。

お母さんが誕生日に居なくなってしまったときと今が重ならないはずなのに、重ねてしまってる。


ここで離れたらもう2度と会えないんじゃないかって。

…それでも彼がこうしてここに居ることが何よりも嬉しかった。



「柚、お母さん…湊くんから全部聞いたの」



差し出されたお粥を受け取った。

パクっと口に運んでみる。
塩味がやっぱり足りない…。



「…どうして、言ったの」


「こればっかりは隠し通せるものでもないと思ったから」



彼は何も悪気が無いようだった。

少し睨んだ視線も、パッと空へ消えてしまって。



「お母さんの為にありがとうね。本当は色々我慢してたんでしょう?今だってこんなになるまで…」


「ううん、大丈夫。全然平気なの。こんなのへっちゃらだよ」



元気だけが取り柄なんだよ。

今日はたまたま頑張り過ぎちゃって、ほらテストもあったし。

でもそれが終われば冬休みが来て、もっともっとバイトに集中出来る。



「柚。…柚はどうしたい?みんなのことじゃなく、あなただけの気持ちが聞きたいの」