「どう? 落ち着いた?」



のんびりと休んでいる間に、いつの間にかお昼を過ぎていたらしい。


神風くんのスマホに舞さんから着信があり、わたしの様子について聞かれたようで、通話を繋いだままわたしに問いかける。


わたしはこくんと頷いてみせる。


ゆっくり休めたおかげで、酔いも覚めて気持ち悪さも減ってきた。


激しい乗り物に乗れるほど元気も勇気もないけれど、一緒にパークをまわることはできそうだ。


そう思ってわたしは"大丈夫"という意思表示を神風くんに返したのに。



「まだ無理そうだって。 俺たちもう帰るからあとはご自由に」



電話越しに「ちょっと……!」と引き止める舞さんの声が聞こえた気がしたけれど、容赦なく神風くんは通話を切った。



───それよりも何よりも。



「ねぇ、わたし大丈夫だって」


「そんな真っ青な顔して言われてもね」


「……そんなに?」



神風くんに言われるほど酷い顔をしているのだろうか。


鏡を見ていないから、今自分がどんな顔色をしているのかわからない。