ベンチに取り残されたわたしと神風くん。


絶賛体調不良中だから、苦手な神風くんでもいてくれるのはなんだか心強い。



「神風くん、ありがとう」


「……え、何が?」



一体なんのことだと抑揚のない声で返された。


何がって。



「その、一緒にいてくれて……」



さっきから目の前を通る人たちが、揃って神風くんを見ている。


そして隣にいるわたしを見て、嫉妬の目を向けられる。


こんな奴がイケメンの隣にいてごめんなさい。


そんな気持ちになる。


わたしも居心地が悪いけど、実は人嫌いな神風くんはもっと嫌だろうに……



「別に。 姉ちゃんたちとまわるのが嫌なだけ」


「……あっ、そう」



優しいと思ったのはわたしの思い過ごしらしい。


ただ面倒くさがってただけ。


お礼なんかして損した。


不快な気分になって、その気持ちごと一緒に水を喉に流し込んだ。