聞こえてくる甲高い悲鳴が大きくなってきていたから、嫌な予感はうすうすしていた。



「やっぱり定番といえばこれだよね!」



最初に乗ろうとしていたのは、わたしが大の苦手とする乗り物、ジェットコースター。


落ちていく瞬間に内臓がフワッと浮くような感覚になる。


それが好きと言う人もいるけれど、わたしには耐えられない。


魂ごと吸われて死んでしまうのではないかとヒヤヒヤする。


わたしが初めてジェットコースターに乗ったのは小学生の時で、その感覚を覚えてしまってからもうトラウマでずっと乗っていなかった。


友達がほとんど居ないこともあり、テーマパークに行くこともなく今まで乗らずに済んでいたんだけれど……



「ほらほら、行くよ!」


「あ、いやっ、舞さんっ!!」



舞さんに入口に立ち尽くすわたしの背中をグイグイと押されて、これからジェットコースターに乗らなければいけないという決意もできぬまま、気がつけばコースターに座り、安全バーを下ろされていた。



待って、待って。

まだ心の準備が──



「いってらっしゃーい」と元気なキャストさんに見送られ、ガシャンと音を立てて出発したジェットコースター。


最初はゆっくり動き出す。


そして、地獄の底へと突き落とすための急な上り坂を上がっていく。


あぁ、神様……もしいるのならば、どうかわたしをお助け下さい。