そんな空間から解放されたのは、あれから10分後。


ほんの短い時間なのに、すごく長く感じた。



「……はぁ」



電車に乗っていただけなのに疲れを感じて、深いため息をついた。


やっとの思いでたどり着いたショッピングモール。


さて、何から買おうか。



「それで、何が必要なの?」



わたしが事前にまとめていたメモを見ていると、横からひょっこりと神風くんに覗かれる。



「……っ」


「あぁごめん、こうやって近づかれるの慣れてないんだっけ?」



またわたしの反応を楽しんでクスクスと笑う神風くん。


全部図星なのが本当にムカつく。



「手伝ってくれるの、くれないの」



神風くんは手伝いに来てくれたのか、わたしの邪魔をしに来たのかわからない。



「手伝って欲しいなら俺にお願いしてよ」



そう言ってにっと笑う。


イラッとする。


もともとわたし1人で買い出しをする気でいたんだから問題はない。


……けれど、やっぱりこの買わなきゃいけないものの量を見れば人手は欲しいところ。


お願いする相手が苦手な神風くんってところが腑に落ちないけど。



「お願いします」



渋々頼むことにした。