ばったり会ってしまうのが嫌で、曲がり角の物陰に隠れて学校の校門を見てみる。


土曜日で朝から部活も行われていて、グラウンドの方からは歓声、校内からは楽器の音が聞こえてくる。



「なーんだ、やっぱり嘘じゃん」



肝心な校門の前に神風くんの姿はなかった。


ちょっとでも心配になってわざわざ学校まで来たわたしがバカだった。


買わなければいけないものはたくさん。


早くショッピングモールへ行って買ってこよう。


そうしないとすぐに日が暮れてしまう。


そうくるりと体の向きを変えた時だった。



「あれ?ちゃんと来てくれたのに帰っちゃうの?」


「……っ!」



本当、タチ悪い。


息を潜めて真後ろに立って待ち構えるなんて……


神風くんは作戦通りだったのか、満足気に笑顔を浮かべている。


それがまたムカつく。



「澪ってそんな可愛いワンピースも着るんだね? あ、もしかして俺に会うからオシャレしてきたとか?」



なんで神風くんは口を開けば、わたしがイラッとすることしか言わないんだろう。


でも、少しでも神風くんを意識してワンピースを選んでしまっていたことに違いはなくて、返す言葉がない。