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神風くんはわたしに約束を取り付けてきた。


今日の10時に学校で待ち合わせ。


昨日の話の流れ的に、わたしの買い出しを手伝ってくれるつもりで言ったんだろうけど……



それは本気?



またわたしをからかっているだけなんじゃないかと疑ってしまう。



「……別に、行かなくていいよね」



そんな複雑な気持ちになりながら、クローゼットから洋服を取り出して扉を閉めた。


誰とも会わない。


ただ頼まれた買い出しをしに行くだけ。


適当な服でいい……そう思うのに、手にしていたのはよそ行きのワンピース。


小花柄でわたしのお気に入り。


自分に似合っているかは別として。



「はぁ」



少しでも神風くんのことを考えてしまっている自分が嫌になる。


実際、神風くんと2人で買い物になんて行きたくはない。


でも、神風くんが言ったことは本当で、本当に学校の前でわたしを待っていたとしたら。



「チラッとだけね」



買い出しに行く前に、念の為学校の様子を見てみることにした。