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それから数日後、各クラスの合唱曲が決まって、わたしたちのクラスは第一候補の曲は抽選に外れてしまったけれど、第二候補の曲を歌えることになった。


第二候補とはいえ、この曲も綺麗でいい曲だ。


歌詞も頑張る人の背中を優しく押してくれるような歌で、心に染みる。


先生から楽譜のコピーを貰って、今はひとり、音楽室にこもっている。


……というのも、もうやめてしまっていたピアノは家にもうない。


練習するには学校にあるピアノを借りるしかなくて、先生にお願いしたら快く使っていいと許可を貰えた。



ポーンと音を鳴らす。



譜読みは元から得意な方だった。


初めて見た楽譜でもある程度、曲になるくらいには弾けた。


やっぱりしばらくやめてしまっていたから、ブランクはどうしてもあってすぐには弾けなかったけれど、最後まで一通り弾ききることができた。


もちろん、テンポは本来のものよりとても遅いけれど。