「神風くん! わたしを伴奏者に推薦するなんて何考えてるの?」
「え?」
「合唱コンクールのピアノ伴奏! なんでわたしなの?」
今日はわたしが納得する理由をちゃんと言ってくれるまで帰さない。
そう心に決めて、問いただす。
それくらい、わたしに合唱コンクールの伴奏者という役割は負担が大きい。
「単に上手だと思ったから、じゃダメなわけ?」
「……神風くんは勝手すぎるんだよっ、わたしの気持ちも考えないで!」
神風くんにはわたしの気持ちはわからない。
そのまま神風くんを置いて教室を出た。
ばか、ばか。
神風くんのばか。
ううん、本当は自分の問題なのに……ただの八つ当たりだ。
ごめん、神風くん。
ひとりぼっちの帰り道はすごく寂しかった。