「七瀬さん、お願いできないかな?」
クラスメイトからはそんなお願いの声も上がってきている。
どう考えてもわたしが断ることなんかできない雰囲気で……
とうとう折れて、首を縦に振ってしまった。
それを見た神風くんは、フッとわたしを見て笑った。
最初からそれを狙っていたかのように。
神風くんは、わたしを伴奏者にすると決めた上で指揮者に立候補した。
それもそうだ。
面倒くさがりやの神風くんが自ら立候補するなんて、おかしい話。
神風くんは何を考えてるの?
わたしには、神風くんの考えがわからない。
まんまとはめられた気分だ。
わたしは、放課後になってから帰ろうとする神風くんを引き止めて、問いただした。