その主は、神風くん。
「はい、神風くん」
神風くんが動く時は、何かが起きる時。
クラスメイト全員が神風くんに注目する。
「俺、指揮者やります」
その立候補に、わぁっと声が上がる。
「やるな、神風ー!」
「神風くんが指揮してくれるなんて、頑張れちゃう」
男子も盛り上がり、女子はより一層意欲を上げている。
たった一言でこんなにクラスが盛り上がるなんて、やっぱりさすがは人気者の神風くん。
ただし、ひとつ不安がある。
「立候補ありがとうございます。 じゃあ指揮者は神風くんに決定します」
なにか裏があるに違いない。
そんな変な冷や汗を感じながら、黒板の指揮者と書かれた下に"神風 唯斗"とチョークで書き足した。