「また何か変なこと考えてるでしょ? ほら、自信持ちなさい、澪っ!」
「それ、神風くんにも言われた……」
その話をもっと聞きたいと言われて、神風くんの追試があった放課後の話をする。
わたしがこうなってしまったきっかけの日。
自分の気持ちに気がついてしまった日。
こんなに苦しいものなら、気がつかなければよかったと思ってしまうほど戻りたい日。
放課後、神風くんなんか待たないで帰ってしまえばよかった。
「ほんっとに神風って奴は……」
わたしが話した神風くんに、玲奈ちゃんはあきれていた。
なんで玲奈ちゃんがそんなことを言ったのかは、わからないけれど。
「大丈夫だよ、澪。 澪はさ、今はダメだって思ってるのかもしれないけど、その気持ち伝えたわけじゃないんでしょ?」
確かに玲奈ちゃんの言う通り。
この"好き"って気持ちを神風くんに直接伝えたわけじゃない。
「……でも」
「でもじゃないの! ちゃんと口で伝えないと伝わらないこともたくさんあるんだよ?」
口で伝えないと伝わらないこと。
わたしが今までしてこなかったことだ。