その後、通常通りに仕事をする。
しかし何だか上機嫌だった。
鼻唄を歌いながらキッチンでお冷やの準備をしていた。
「菜々子さん。どうしたんだろう?
何だか機嫌がいいけど」
「男でも出来たのかな?」
「それは、それで大変だぞ。
俺達に見向きもしなくなったら困る……」
心配している店員達をそっちのけで私は、仕事をしていた。あ、そうだ。
マッサージコースにするなら少しぐらい勉強しておかないと……。
課長の事だ。やるからには、完璧なマッサージを目指すはずだ。
多少でも上手くやれるようにしておかないと後で怒られちゃうわ。
そう思い帰りに本屋に立ち寄ることを決めた。
そして夕方に店を閉めると本屋に立ち寄る。
最近は、早く夕日が暮れる。辺りがすでに暗くなり始めていた。
駅前の本屋に着くとマッサージコーナーを探して関する本を選ぶ。
うわぁ~それだけでもこんなに種類があるんだ?
資格の事から自宅で出来る簡単マッサージなどなど。
見ているだけでも逆に肩が懲りそうだわ。
これがイケメン関係や好きな俳優とかならウハウハなのになぁ~と思いながら見ていた。
すると私の携帯の着信音が鳴り出した。
カバンを開けて見てみると美希からだった。
バタバタしていてメールでお礼を送っただけだったし丁度良かった。
急いでお店から出ると電話に出た。
「もしもし」
『お疲れ様。今大丈夫?』
「うん。昨日は、ありがとう。
お陰様で課長に助けてもらって無事だったわ」
改めてお礼を伝えた。
あの時、美希が課長に居場所を教えてくれなかったら私は、どうなっていたか分からない。
そう思うと今でも怖い……。
『本当よ!こっちは、もしもの事を考えて課長に相談して良かったと今でも思っているわ』
「すみませんでした。以後気を付けます」
本当に美希には、申し訳なく思う。
心配をかけてしまって……。
しゅんと落ち込んでいると美希は、苦笑いする。