「とにかく、これに懲りたらイケメンだからと言う理由だけで、気安くついて行くな。
もっと警戒心を持て接しろ!」と叱られる。
「……はい。すみませんでした」
課長に叱られしゅんと落ち込んでしまう。
また怒られてしまった……。
課長には、怒られてばかりだ。しかも何度目?
ちっとも成長しない自分にきっと呆れているだろう。
「そういえば、前から気になっていたのだが、宮下は、何でそこまでしてイケメンが好きなんだ?
カッコいいからというだけなら分からなくもないが。お前の場合は、少し度が過ぎるような気がするが?」
不思議そうに質問をしてくる。
えっ?課長……あなたが、それを聞きますか!?
改めて何故か?と言われると困ってしまう。
でもやっぱり大きいのは、アレでしょう……?
「それは……その……やっぱり見た目でしょうか?
カッコいいですし」
「いや。カッコいいのは、分かっている。
何故そこまでしてイケメンに、こだわるのかを聞いているんだ。
イケメンではなくても誠実だったり、まともな男なら居るだろう?別にこだわる必要なんて……」
その言葉にピクッと反応した。
こだわる必要ない……?それは、聞き捨てならないわね。
私は、勢いよく椅子から立ち上がった。
「いえ、イケメンだからこそです!」
「はぁっ?」
「だって、いくらカッコいい台詞や特技を持っていてもイケメンではないと見栄えしないんです!
ただの勘違いしている人みたいで我慢出来ないんですよ。華がないんです……そこに。
それに見た目だって、イケメンではない人が、イケメンっぽい格好しても似合わないし。
そんな人にキスされても嬉しくないです!」
ダメ。これ以上話したら……。
なのにイケメンを語り出したら止まらなくなってきた。
ダメだと分かっているのに口が止まらない。
「それだけではありません。
あの整った顔立ち。見つめられたらキュン死になりそうになるぐらいの綺麗な目。
あんな目で見られたら恋に落ちない人が居ますか!?
いや、いませんね。絶対!!」
「人は、見かけではないと言う人が居ますが、やっぱり最初に会った時の第一印象は大事ですよね!?
なら、イケメンなら一発でクリアじゃないですか?
男性だって、美人の人や可愛い女性を見たら鼻の下を伸ばすではないですか。それとまったく同じなんです!」
大興奮しながら必死になって課長に力説する。
それは、ドン引きするぐらいの勢いで……。