「お前……大丈夫なのか?」

「えっ?何が……ですか?」

 大丈夫だと言われても意味が分からないが?
私は、きょとんと首を傾げる。
 すると課長は、何か言いにくそうな表情になる。
眉間にシワが寄っていた。

「何って……体調がだ。あれだけ泣いたんだ。
気分が優れなかったりその……頭痛とかしてないか?」

 課長がそう言ってきた。
課長が……心配をしてくれている!?
 しかも体調の気遣いまで……。
私は、そっちの方が驚いてしまった。

「は、はい。大丈夫です。
 少し頭痛は、しますが平気です。あの……お騒がせして申し訳ありませんでした」

 私は、深々と頭を下げた。

「そうか……それならいいが失恋した後だ。
あまり気分が優れないと思うが無理だけはするな」

課長……。
 私が失恋した事を気にして気を遣ってくれてるのだろうか。私のために……。
 そう思うと心臓がドキッと高鳴り締め付けられそうだった。

……うん?そういえば改めて考えるとそこまで……失恋に対して気にしてないような?
 何で?あ、あの時に安西さんの本性を知り百年の恋も覚めたから?

 泣いたのも失恋のショックというよりも、この状況を作ってしまった自分が情けなくて悔しかったからだ。
 課長に助けてもらってホッとしたから自然に……。
 あれ?私ってそこまでして安西さんと付き合いと思っていたのかしら?

 確かにイケメンが大好きだし、イケメンなら結婚したいと思っていた。
 しかしそれが、安西さんにこだわる必要もなかった訳で……。うーん。

 自分の事なのに自分が分からなくなってくる。
結局私は、どうしたかったのだろうか?
 あれが性格のイケメンだったら……本気で付き合う気だったのだろうか?安西さんでも。

「宮下?おい宮下」

「は、はい!」

 ハッと気づき慌てて返事をした。